エリオットが帰ってしまったら、今までみたいに、ごはんを一緒に食べたり、寝る前におしゃべりしたり、たわいもない触れ合いをしたり、そういうことができなくなる。

 だから今朝は、エリオットお手製の朝食もこれで食べ納めかと思って、シュエットはいつもよりもゆっくり、噛み締めるように食べていた。

 トーストに、目玉焼きに、カリカリのベーコンとコーンスープ。

 全部全部忘れたくなくて、目に焼き付けるようにそれらを眺めながら、一口一口丁寧に咀嚼する。

 目の前ではエリオットが、上機嫌で朝食を食べていた。

 試練が終わるからなのか、それとも今夜の舞踏会が楽しみだからなのか。

 自分と違って上機嫌な彼に、シュエットは一抹の寂しさを覚えた。