箱を覗き込んでいたシュエットが、首をかしげてピピを見る。

 不思議そうな顔をしていても、彼女はかわいい。なにをしていても、かわいくて仕方がない。

 すっかりシュエットを手に入れる気になっているエリオットは、恋に侵されたお花畑のような頭で、そんなことを思っていた。

「ああ、そうじゃ。明日はな、ヴォラティル魔導書院の新たな門出を祝う舞踏会が開かれる。魔導書院の者であるエリオットは当然参加しなくてはならないわけだが……」

 先を促すように、ピピがエリオットを小突く。

 自分で言い始めたのだから、最後まで言い切れば良いものを。

 しかし、ピピに言わせっぱなしというのも、男としては情けない。

 なんと言えば、彼女は了承してくれるだろう。

 どう言ったものかと思案して、なにげなくシュエットを見たら、視線がかち合った。