「準備が整うまで、あと少し……」

「何か言った?」

「いや、なんでもないよ」

 そんな二人をピピはほんのつかの間見守って、静かに部屋を出て行く。

「歴代一位の面倒臭さじゃ。しかし、だからこそ、かわいらしゅうてたまらぬ」

 手のかかる公爵様の恋を成就させるには、やらねばならないことがいっぱいある。

 幼女姿からモリフクロウの姿へ戻ったピピは、夜の空を見上げて翼を広げた。