不意に、エリオットとカナール、二人の間に沈黙が落ちる。

 最初にエリオットが、次にエリオットの視線に気がついたカナールが、腕を回されたシュエットの細い腰を見た。

 そこでエリオットはようやく、平静を取り戻したらしい。

 熱を帯びていた攻撃的な視線が、途端にオロオロしだす。

 戦意喪失したらしいエリオットに、シュエットはようやく話せると口を開いた。

 初対面同士ならまずは紹介しないと、と思って。

「あの、エリオット? 彼はカナールと言って、プルデネージュ料理店の見習い料理人兼ボーイよ。プルデネージュ料理店というのは、ペルッシュ横丁にある料理店で、私はいつもお世話になっているの……って、エリオット? なんだか顔が真っ赤だけれど、大丈夫?」

「大丈夫じゃない」