(かっこいい……)

 本当に、やめてほしい。このギャップがいけない。

 普段の気弱そうな彼からは想像できない強引なしぐさに、クラクラしてしまいそうになる。いや、もうしている。

 だって、あまりにもビックリして。

 試練の時でさえ、おずおずとまるで壊れ物を扱うかのように慎重に触れてくるエリオットが、試練でもなく、シュエットの許可もなしに触れている。

 どうやら彼は、怒っているらしい。

 いつもならほんのちょっと上がっている口角が、不満そうに曲げられている。赤い目はイライラと、カナールを睨みつけていた。

(私がカナールと遊んでいたせい……?)

 試練の時以外は決して触れないと、エリオットは言っていた。

 だからもしかすると、強引な行動はサボっていたシュエットに対するお仕置きのつもりなのかもしれない。残念ながら、ちっとも嫌だとは思えないけれど。