じゃれあいの延長で、再びカナールがシュエットの頭に手を伸ばした時だった。

「触るな」

 不意にシュエットの背後から現れた手が、カナールの腕を掴んだ。

 ベリリと音がしそうなくらい強い力で、シュエットをカナールから引き離す。

 驚いて素っ頓狂な声を上げる彼女の腰を、エリオットは強引に引き寄せた。

(ここここ、こんなこと、自然にできるような人だった⁈)

 シュエットは目を白黒させた。

 その頰は、あっという間に熱を持つ。

 ──触るな。

 短い言葉なのに、妙に耳に残る。

 凛としていて、言うことを聞きたくなってしまうような強制力があった。