でも、もしも。もしも、レヴィ家に優秀な魔導師がいて、占星術でエリオットの未来をみたのだとしたら。そして、エリオットがシュエットを選ぶという結果がみえたのだとしたら。

 王族との結婚に固執しているらしいレヴィ親娘が、シュエットを放っておくだろうか。

 エリオットは、嫌な予感しかしなかった。

「気になるのなら、調べてみれば良い」

「だが、どうやって……」

「母を頼るが良い。手紙を書くのじゃ。わらわが直々に届けてやろう」

「返事がくるわけ……」

「ない、なんてことはあり得ぬ。言ったであろう? 彼女は今でもおまえを愛している。おまえが助けを求めれば、必ず手を貸してくれるはずじゃ」

 ピピはそう言って、エリオットを執務机に追いやった。

 引き出しからレターセットを取り出し、グイグイと押しつける。

 だからエリオットは仕方なく、ペンを手に取った。

 母に手紙を書くなんて初めてのことで、ペンを握る手が震える。シュエットにかけられた呪いを解きたい一心で、手を動かし続けた。