ピピの言葉を聞いて、全てがストンと腑に落ちた。

 母は、エリオットが嫌いだから来なくなったわけじゃない。エリオットが出来損ないだからでも、義理で産んだからでもない。

 来たくても来られなかったのだ。迂闊に近づけば、命を吸い取られてしまうから。

 隣国の姫であった母には、リシュエルの王族のような膨大な魔力はない。

 そんな彼女から、魔導書院は容赦なく魔力を吸い取り、足りない分は命を削り取って補填しようとしたに違いない。

 それくらい、古の魔術はえげつないものなのだ。