「く……ぅ……」

 息ができない。苦しい。もっと空気を吸わなくちゃと思うのに、ますます苦しくなっていく。

 次第に視界が白く塗りつぶされていって、シュエットは焦った。

「た……けて……」

「シュエット⁉︎」

 名前を呼ばれて、ドタバタとエリオットが走り寄ってくる。

 ハッハッと早い呼吸をする彼女に、エリオットはシュエットが過呼吸になっていることに気づいた。

「過呼吸か。シュエット、落ち着いて。ゆっくり、ゆっくり呼吸をするんだ。そう、いい子だね」

 大きな手が、シュエットの背を優しく撫でてくれる。

 不安でいっぱいだったシュエットの緊張を解くように、その手は彼女を撫で続けた。