「シーニュ。どうして、とめた?」

 エリオットのことを、シュエットがどこまで知っているのか。

 それを問うための質問を邪魔したことを、彼は言っているのだろう。

 パングワンの問いにシーニュはすぐには答えず、窓のそばへ歩み寄った。

 遠くの空を、黒い雲が覆っている。

 もうすぐ、あの雲はこちらへ流れてくるだろう。そうしたら、この辺りも黒い雲が空を覆って、今にも泣き出しそうな色になるはずだ。

「もうすぐ、嵐がくるわ」

「それは、」

「天気のことじゃないわ。シュエットのことよ」

「また、使ったのか」

「ええ、使いました。だって、大事な娘のことですから」

 シーニュはしれっと答えた。