「お父さん、恋人の紹介でも結婚のあいさつでもないわ。今日来たのは、フクロウ百貨店のことで話したいことがあるからよ」

 シュエットの言葉に、パングワンはあからさまに安堵の表情を浮かべた。

「なんだ、売り上げはいつも横ばいで、特に問題はないぞ? 私としては、悪化させていないだけで及第点だと思っている」

「そうね。お父さんは、そうなんだろうけど……」

 フクロウ百貨店が閉店に追い込まれたって、ミリーレデル商會としては問題にならない。やっぱりな、と粛々と後始末するだけである。

 かわいい娘が無理をしないように、彼女が一人でも回せる大きさの店を探した結果、フクロウ百貨店しかなかったというだけだ。

 もしもうまくいかなくて店を畳んだとしても、パングワンとしてはシュエットが家に戻ってくるので万々歳だった。

 シュエットもそれをなんとなく察しているのだろう。

 フクロウ百貨店の売り上げは、上がりもしないが下がりもしない。

 このまま彼女が一人暮らしを続けたいと思う限り、続いていくのだろうとパングワンは思っていた。