「そう、なの?」

 声が掠れる。やけに喉が渇いていた。

「ああ」

 再び、二人の視線が交わる。熱を帯びた視線が絡み合って、熱したアメみたいにドロリと溶け合いそうだ。

「ほぅ……」

 その時、不意に悩ましげな吐息が聞こえてきて、二人は弾かれたように振り返った。

 二人の視線の先で、幼女姿のピピが組んだ手を顎に当ててうっとりと二人を眺めている。

「なにをしている。さっさと続きをせぬか!」

 まるで朗読中の恋愛小説の続きを強請るかのように、ピピは続けろと騒いだ。

 だが、「さぁ、どうぞ」と言われて「じゃあ、やりますか」というようなものでもない。

 甘く感じていた空気はすっかり消えてしまって、ピピの要望に応えられそうになかった。

「続きって……」

「ねぇ?」

 二人は呆れが滲む顔で見つめ合い、恥ずかしさをごまかすように、どちらからともなくプッと吹き出した。