どうにかしてあげたい。でも、どうやって?

 エリオットは自問する。

「なにか、失敗してしまった?」

 マグカップを差し出しながら問い掛ければ、シュエットは無言のままに、腰掛けていたベンチの半分をエリオットに譲ってくれた。

「いいの?」

 試練でもないのに、こんな近くに座れるなんて。

 嬉しく思うのと同時に、心配にもなってくる。彼女はこんなに無防備で、誰かに拐われたりしないのだろうか、と。

「どうぞ」

 ポンポン、とシュエットの小さな手がベンチの空いたスペースをたたく。

 エリオットはいそいそと、言われるがまま腰掛けた。