普段やる気のないエリオットばかり見ていたメナートは、彼の珍しい表情に思わず口を噤んだ。

 だが、それも長く続かない。お喋りな彼が黙るのは、難しいことなのだ。

「院長、今から料理するんじゃないんですか?」

 メナートの質問に、メンフクロウとシロフクロウが不服そうに鳴いた。

「うわっ!」

 メナートは驚いて飛び退った。

 弾みで、袋からオレンジが転がり落ちる。コロコロと足元に転がってきたそれを拾い上げながら、エリオットはメナートを見た。

「ここではしない。それより、メナート。僕はしばらく帰れなくなったから、あとはよろしく頼む」

 ニッコリとほほ笑んでやれば、メナートの手からドサリと荷物が滑り落ちた。