「ヴォラティル魔導書院へ行くの? でも、嫁選びの書を持ってくるまで戻ってくるなと言われているのでしょう?」

「ああ、だから持っていくよ?」

 そう言って、エリオットは上空を見上げた。

 つられるように空を見上げれば、大きく翼を広げたモリフクロウが、悠々と飛んでいる。

「また、持って出ることになるけれどね」

 おどけるように笑うエリオットに、シュエットもなるほどと笑みを零す。

 握手さえままならなかった男が、少しずつシュエットに懐いていくようで、なんだか嬉しい。

(嫌われているより、よっぽど良いもの)

 それに、ヴォラティル魔導書院へ行くのは初めてだ。