触れるか触れないかの触れ合いは、こそばゆい。

 くすぐったさに思わずクスリと笑むと、エリオットがつられるようにへにゃりと相好を崩した。

 美形の、飾り気のない無防備な笑顔は、破壊力がある。

 シュエットは怯みそうになったが、長女の意地で笑みを貼り付けた。

 緊張していた手から力が抜けて、遠慮がちに手が握り込まれる。

 じわ、じわ、じわ、と合わさる手のひらは、まだ緊張しているせいかシュエットよりも体温が高かった。

「やればできるではないか。第一の試練、クリアじゃ。まだまだ、先は長いの」

 合格の声に安心したのか、エリオットがテーブルに突っ伏す。

 もちろん、握手したままだ。握手というよりは手をつないでいるような感じだったけれど。

 つながれたままの手を振り解くべきか悩んで、シュエットは結局、エリオットが気付くまでそのままでいた。

(だって、振り解いたら、せっかく頑張ったのにかわいそうじゃない)

 そう、言い訳して。