「うむ、良い子じゃ。ではさっそく、第一の試練を行ってもらおう。エリオット、こちらへ」

「あ、ああ」

 エリオットがスポンジを片付けて手を拭いている間、シュエットはピピに導かれてダイニングの椅子へと腰かけた。テーブル越しのもう一脚の椅子には、エリオットが座る。

「うむ。では、手を握ってくれ」

 手を握る。要は、握手だろうか。

 試練、試練と何度も言われて緊張していただけに、シュエットは肩透かしを食った気分だった。

 それくらいなら、とシュエットはテーブルの上に手を出す。握手をするように、ほんの少し傾けた。

 向かいでエリオットが、表情を引き攣らせてらせてシュエットの手を凝視していた。まるでシュエットの手に触れたら爆発してしまうとでも思っているような、この世の終わりのような顔をしている。