きっと、先日読んだ恋愛小説の影響だろう。

 そう結論づけたシュエットは、無理やり納得させるように頷いた。

(でも……エリオットは、試練の時以外は決して私に触れないと言っていた。それってつまり、触れるような試練があるということ?)

 嫁選びの書が課す試練。それは一体、どんな試練だろう。

 偉大な魔導師ですら跳ね返せない強力な魔術。それは果たして、シュエットに跳ね返せるものなのだろうか。

 暗雲立ち込めるこの先を思って、シュエットはこっそりため息を吐いた。