シュエットのせいで、エリオットが病気になっては寝覚めも悪い。

 エリオットの前に置かれた空のカップを取ったシュエットは、そのままキッチンへ向かってカフェオレをもう一杯淹れ始めた。

「あの……?」

「私のせいであなたが風邪をひいたら、嫌だもの。試練とやらが終わるまでですよ、エリオット先輩」

 ギュッと眉間にシワを寄せて、目は怒ったように吊り上がっている。不本意だと言わんばかりの顔で、それでも彼女は、「家事、お願いします」と言った。

「エリオット、でいい」

「じゃあ、私のことはあなた、じゃなくてシュエットって呼んでください」

「ああ。わかった、シュエット」

 くすぐったそうに笑うエリオットに頷きを返して、シュエットは小鍋を火にかけた。