温厚そうな目鼻立ちに、癖のある黒髪。切れ長の深紅の目は、思わず見入ってしまいそうなくらい美しい。困ったように眉が下がっていても、彼の美麗さはちっとも損なわれていなかった。

 黒髪に赤い目は、この国ではちょっと珍しい組み合わせだ。ここまで整っていると、まるで絵本に出てくる堕天使を想起させる。

 美しく、清らかで、それなのに邪悪。

 見つめられたら、ついうっかり唯々諾々と従ってしまいそうだ。

 チラリと視線を上げたらフイッとそっぽを向かれてしまったから、それはなさそうだけれど。

「エリオット先輩が、私になんのご用でしょうか?」

 昨夜のローブの男がエリオットなのはわかった。だからといって、なんだというのだろう。

(まさか、今更謝罪というわけでもないでしょう)