その……赤点大魔王のエリオットだ。

 そう言って、男は困ったように笑った。

 エリオット先輩。

 シュエットはたしかに昨夜、既視感を覚えてその名を口にした。

(エリオット先輩って、こんな人だったの?)

 シュエットは信じられない気持ちでいっぱいだった。

 だってまさか、目を隠していただけでこの美貌が隠れるなんて、誰が思うだろう。

 目の前には、目を瞠るような美貌の男が一人。

 かわいいとチヤホヤされる妹も、美人だともてはやされる妹も敵わないくらいの美しい顔が、そこにあった。