「朝からすまない。その……大事な話があるから、部屋に入れてもらえると助かる」

「大事な話? 初対面の女の家に入らなければいけないほどのお話とは、どんなものでしょうか?」

「初対面……そうか、そうだな」

 シュエットの冷たい言葉に、男はひどく傷ついたようだった。

 まるでシュエットの方がひどいことをしたみたいだ。突然やって来て、部屋に入れろと言っている方が非常識なのに。

「僕はまだ、名乗ってもいなかったな。申し訳ない。昨日、あなたが僕の名前を呼んだから、知っているつもりになっていた。その……僕の名前は、エリオット・ピヴェール。王立ミグラテール学院でキミの先輩だった、と言えばわかるかな?」