──ビィィィィィ!

 けたたましいチャイムが鳴り響く。

「こんな時に、来客? 誰かしら、もう」

 考えたいことが山ほどある。

 目を離したらモリフクロウが逃げてしまいそうで、シュエットは気が気ではない。

 ──ビィィィィィ!
 ──ビィィィィィ!

 しかし、チャイムはシュエットを急かすように鳴り続ける。

 シュエットは急いでパジャマの上からカーディガンを羽織ると、玄関へ向かった。

「今開けますから! チャイムを連打しないでください」

 モリフクロウを確認しながら、シュエットはドアノブに手をかけた。

 いつもだったら覗き窓から相手を確認してから開けるのに、モリフクロウに気を取られた彼女はそれを怠る。

「はい、どちら様ですか?」

 開けた扉の先に居たのは、昨夜見たローブの男。

 今は顔を隠すつもりもないのか、その素顔をシュエットの前に晒していた。