「あぶない、あぶない」

 慌てて火から外して、小鍋からカップに注ぐ。

 甘いカフェオレに、バターを塗ったレーズンパン。これがシュエットの、朝の定番だ。

 皿とカップを持っていそいそとテーブルにつく。いつもだったらゴチャゴチャとしたテーブルだが、今日はすんなりと物を置けた。

「昨日、帰ってきてから掃除したっけ?」

 ぼんやりと昨日のことを思い返しながら、レーズンパンにかぶりつく。バターとパンの甘さ、焦げたレーズンの苦みが口の中に広がった。

(子どもの頃はレーズンパンが苦手だったけれど、好きになったのはいつからだったっけ)

 口の端についたパン屑を舐めながら、カフェオレに手を伸ばす。と、その時だった。