夏川さんは

「もう、今さら仕方なさそうですね…。もし土橋さんが嫌でなければ、互いに住むところが見つかるまでの間だけ、仮住まいということでルームシェアしませんか?女の子にしてみれば、きっと不安でしょう?でも、僕は自分で言うのも情けないですが、人畜無害なだけが取り柄なので…。心配しないてください」

そう言って、憂いを帯びた微笑みを向けた。

目の前の美少年は、確かにとても真面目な人に見える。

「わかりました。美和子さんも安く部屋を貸してくれたし、二人で家賃や生活費を折半するとなれば、お互いに早く貯金できそうですしね。それまでの間、よろしくお願いします」

私は、右手を差し出すと、夏川さんも遠慮がちに右手を差し出し、握手を交わした。