遠回りと言っても、飲食店街からマンションまではすぐなので、完全に反対の方向に向かって歩き出す。

こんなところにこんな店があるんだ、今度来てみようか、など他愛ないことを話しながら、駅の周りをぐるぐると廻っていた。

それだけのことなのに、何故だろう?この満たされた気持ちは。

こうして外を歩いていても、マンションに戻っても、いつもレイくんが居てくれる。

だから、全く寂しさを感じたこともない。

何故だか、そのことに幸せまで感じてしまっている私…。

あくまで、かりそめの同居でしかないのに。

今がこのままずっと続けば…。

口に出せない想いは、日ごと募ってゆくばかり。