レイくんとのルームシェアも、最初はどうなることかと思ったけれど、順調だ。

夕刊の配達はないとはいえ、やはり疲れてしまうのか、レイくんは学校が終わると、真っ直ぐ帰ってくる。

大学生というと、サークルとか合コンとか、色々なお楽しみがあるだろうけれど、どうやらそんな余裕はなさそうだ。

「僕にはアキラさんだけが、落ち着いて話せる相手だよ」

いつだったか、レイくんはそんなことも言っていた。

私も、コンビニのスタッフやお客さんと、少しぐらいは雑談もするけれど、果たしてまともな受け答えが出来ているかは判らない。

だけど、不思議なことに、レイくんとは自然体で会話ができる。

自ら、フレンドリーな関係を誰かに望んだのも、初めてのことだ。



同居して間もない頃、私はレイくんがいつも、何も食べずに新聞配達に行っていることに気付いた。

配達が終わり、学校へ行く前には流石に食べているが、18才の食べ盛りの男の子がそれだけでは、体がもたなさそう…。

そう思い、お節介かもしれないけれど、真夜中に仕事に出掛けるレイくんのため、私は寝る前に軽食を用意しておいた。