「相性が悪くてな。我の持ち味は素早い動きと、鋭い牙や爪なのだが。アダマンビートルは動きが極端に遅い割に非常に硬いのだ。何度か攻撃を仕掛けてみたが、その硬い甲殻に阻まれて、致命傷を与えることができなかった」

 アメちゃんがどの程度の神格を持つ神獣なのかは分からないけれど、少なくともそこらへんの魔獣や聖獣よりもずっと強いはずだ。
 そんなアメちゃんが敵わなかったというのだから、アダマンビートルというのは、下手な群れの主よりもずっと厄介に違いない。

「それって、近くに居るの?」
「そうだな。運悪く、頭の先に付いた角の一撃で致命傷を受けてしまったため、避難したのだが……ちょうど、方角的には【導きの灯火】が指し示す辺りだな……」

「え⁉︎ 大変‼︎ もしかしたら、ブレイブたちがそんな危険な魔獣と遭遇しちゃうかもしれないじゃない! アメちゃん! 急ごう! ブレイブたちが出会(でくわ)すより先に、アダマンビートルを倒すよ!」
「ほう……口では興味がないと言っていたが……では、我の背に乗れ! 瞬きをする間に、アダマンビートルの元へと連れていこうぞ‼︎」