「ところで神獣様。御名を教えてもらえるかしら?」
「なに? 我が真名を知りたいと申すか。よかろう! 我が名はアメトリフ!! 神を乗せる舟だ!」

 さっきからなんなんだろう。
 どう見ても舟なんかじゃない。

 私も話にしか聞いたことがないけれど、舟っていうのは、海の上に浮かぶ大きな乗り物のはずだ。
 一方アメトリフ……うーん、言いづらいからアメちゃんでいいかな?

 アメちゃんは、どっからどう見ても獣。
 生き物が舟ってどういうことなんだろう?

「ねぇねぇアメちゃん。さっきから言ってる、その神の乗る舟ってなんなの?」
「な!? なんだそのアメちゃんというのは! まさか我の名前じゃあるまいな?」

「そうだよー。アメトリフって長いし、可愛くないから、アメちゃん。ね! なんか、甘そうだし、良い呼び方でしょ?」
「ぐぬぬ……まぁ、真名を軽々しく呼ばれるよりマシだが、よりによってアメちゃん……」

 なんだか釈然としていないみたいだけど、いい名前だと思うんだけどなぁ。
 あ、そうだ。せっかくだからお近づきの印にカンロアメを一個あげちゃおう。
 とっておきだからね!