第14話
「な、なん!? そういうのはいいとはどういうことだ!? ブレイブとはなんだ!? 世界平定の役目よりも重要なことなどあるまい!?」

 私の言い分に、明らかにうろたえる神獣。
 あ、ちょっと可愛いかも。

 来た時は脚を折り地面に伏せるように横たわっていたけれど、私のおかげで傷も癒え、元気も出たのか今は四本足で立ち上がっている。
 正直見上げるほど大きい。

 見た目は細面の純白の狼に近いだろうか。
 毛は長く、よく見ると、光が反射して輝いている。

 口先は長く、ズラリと生え揃っている鋭い牙が肉食獣を示す。
 先ほどから喋る度に開かれ、今の私なら一噛みで口の中にすっぽり収まりそうだ。

 そんな見た目の神獣が、口をパクパクさせ、必死の形相。
 なんというか、おーよしよし! ってしたくなる。

「えーっと、ブレイブたちっていうのは私の仲間よ。その仲間を助けに行かなきゃならないの。だから、そのせかいへいてい? っていうのはできないわ!」
「仲間だと? 見たところ、汝はハノーファーを扱えるはずだ。ならばその肉体は強靭! さらに女神マーネスの申し子とも言えるその神聖力。これ以上何が必要だというのだ!」

 神獣……っと、いつまでも神獣だと、めんどくさいわね。
 名前はないのかしら。