ここら辺はもちろん私が慈母神マーネスを主とした深い信仰故というのもあるけれど。
 とにかく、私は神獣の言葉を待った。

 すると、今度は頭じゃなくて、耳に聞こえる音で、さっきと同じ声が聞こえてきた。

「お主……その髪飾りはハノーファーか……? さらに我の怪我を一度に完治させる神聖力。ふははは! ふはははは!!」
「え? なんかすっごく楽しそう」

 私はついつい顔を上げる。
 神獣は牙の生え揃った大きな口を盛大に開けて笑っていた。

 そして……

「まさか再び相見(あいまみ)えるとは!! 女神マーネスの申し子よ! 戦神ガウスの意志を引き継ぐ者よ!! 我は汝の舟!! 世界という大海原を運ぶ舟だ! 汝のが行く末、しかと見届けようぞ!!」

 神獣は大きく目を見開き、叫ぶように私に向かって言い放つ。
 そんな神獣に、私は開いた手を前に突き出し。

「あ、そういうのいいので。私はこれからブレイブたちを助けに行くんだから」