第12話
「それにしても、歩きにくくて仕方ないわね……」

 トホクに向かって歩いている私は、そんな独り言を呟く。
 何が問題かと言うと、破城槌がデカすぎること。

 バイソーを倒すために引き抜いたのはいいものの、用が済んだので要らないとは言えない雰囲気だった。
 仕方がないので肩に担いで歩いているんだけれど、とにかく邪魔。

「うーん。もっと、使わない時は小さくできるとか、そういう機能があればいいのに!! 神器なんだから!」

 なんてわがままを言う。
 いや、これはわがままだなんて決してない。

 純粋なる戦神ガウスへの祈りだ。
 うん。そうだ。そういうことにしておこう。

「あれ? そういえば……ガウス様って確か……」

 改めて今持っている破城槌の主、戦神ガウスの名前、前にどこかで聞いたことがある気がしたのだ。
 どこだったかなぁ……

「あ! 慈母神様の系譜!!」

 教会では主神セルシウスを始めとして、様々な神の系譜が書かれた教典が存在する。
 その中でも異説などをまとめた裏教典というのがあった。

 慈母神マーネスに関することはなんでも知っておこうと、私は裏教典についても読み漁っていた。
 なので、慈母神マーネスに関することだけは、ザードよりも博識なのだ。
 えっへん。