「はい! 先ほども話しました通り、その破城槌は戦神ガウスの物。抜けるのは新たな戦神のみだというのが、この町に古くから伝わる言い伝えです。年に一度のこの祭りは、戦神再来祭。新たな戦神を迎えるための祭りでした」
「じゃあ、何? これを抜いた私が戦神だってこと?」

 私がそう聞くと、おねえさんは強く、そして大きく顔を縦に振る。
 その顔は緊張の他に大きな喜びに満ちているように見えた。

「えー⁉︎ 今のなし‼︎ 私が戦神だなんて、嘘でしょう⁉︎」
「嘘なんかじゃありません。実際に破城槌を自由に扱えていることが何よりの証拠。その破城槌は、力自慢の男が四人がかりでも抜けなかったんですから」

 確かに抜くのはかなり力がいた。
 この破城槌を振り回す力が十必要だとしたら、抜くのにはその三倍か四倍の力が必要だったろう。

 どうやらあの巻物に描かれた秘法は、本当にすごい効果を持っていたらしい。
 使った瞬間、たちまち燃え上がり焼け消えてしまったため、今はもう手元にないけれど。