第7話
 戦闘は私の一方的な攻撃で幕を閉じた。
 バイソーが恐ろしいのはその群れが一体となった突進で、並の討伐パーティなら、それを防ぐことは困難だろう。

 だけど、今の私にはこの強靭な肉体がある。
 そして手の中には十分な長さを持ち、その強度と重量が十分な破城槌もある。

 突進してきたバイソーたちを、一薙ぎにして、全てのバイソーたちが地に伏したのだ。
 ようやく静かになった広場に、一斉に歓声があがる。

 よく見れば、広場の周りの至るとこに人が隠れていて、私とバイソーとの戦いを固唾を飲んで観戦していたらしい。
 こんなに多くの人が逃げずに居たのもびっくりだけど、それよりも不思議に思ったのは、みな、今にも踊り出しそうなほど喜んでいることだ。

「ねぇ、おねえさん。ちょっといい?」
「は、はいぃ! なんでしょう⁉︎」

 何故かおねえさんはさっきとは打って変わってガチガチに固まった状態で、返事をする。

「いくら私がバイソーを倒したからって、見てよ。建物だって結構壊れている。普通なら、喜びもそうだけど、悔しがったり、落ち込んだりするもんじゃない?」

 私は既に踊り始めているものもいる人々に目線を送ってから、おねえさんに問いかけた。
 その質問に対するおねえさんの言葉が示した答えは、私が想像していたものとは違ったものだった。

「あ、それは。お嬢ちゃ……あ。なんとお呼びすれば?」
「え? さっきみたいにお嬢ちゃんでいいわよ」

「分かりました。ん、ごほん! お嬢様が抜かれた破城槌のせいですね。みんな、戦神の再来を祝っているんです」
「戦神?」