この先には……カンロアメのおにいさんのお店があるから……!!

「おにいさんは逃げれても、カンロアメは逃げられないのよ!! 私は全身全霊をもって、カンロアメを守ってみせる!!」
「ぶもぉー!!」

 既に目と鼻の先にいる魔獣たちは、私のことなどまるで見えていないかのように、速度を下げず迫ってくる。
 あれ? これ本当に見えてないんじゃないかしら。

 魔獣たちは四足歩行の筋肉質の身体付きをしていて、偏平な顔の頭部に二本の巨大な角がある。
 その顔の高さは私の今の背丈よりも上。

 私はできるだけ背が高くなるようにつま先立ちをして、右腕を精一杯頭上に挙げ大きく振った。

「ここよー。ここにいるわよー! 私を見てー!」

 私の精一杯が通じたのか、魔獣たちの突進が緩まる。
 一瞬、相対する私と魔獣たち。

 たしか、バイソーとかダイソーとかいう魔獣だった気がする。
 間違ってても許してもらおう。

 ひとまず、バイソーと呼ぶことにした。
 ザードに会うことができたら、合っていたかどうか聞いてみよう。

 立ち止まり私の方を見つめるバイソーに、私ははっきりとした言葉で告げた。