私はついついブレイブのことを頭の隅に一度置き、カンロアメ屋を探していた。
 目線が低くく、周りは人で溢れているので酷く歩きにくいが、カンロアメのため、私が人混みをグイグイとかき分けて進んでいく。

「あ! あった!!」

 少し歩いたとこでお目当ての出店を見つける。
 通りの隙間に、簡易的に作られた屋根と台だけ設置した店だった。

「おにいさん! カンロアメちょうだい!!」
「おや? これは可愛らしいお客さんだねぇ。お父さんかお母さんはどこだい?」

「何言ってるの? 私は一人よ。そんなことより、カンロアメをひとつちょうだいってば!!」

 私の頭の中は、既にカンロアメでいっぱいになっている。
 なにか大事なことを覚えていなくてはいけなかったはずだが、今は忘れてしまっていても仕方がないだろう。

「一人って……お嬢ちゃん。お金は持ってるのかい?」
「そんなのあたりま……え? お金?」

 当たり前のことを聞かれて私は青ざめる。
 というのも、今の私は文字通り無一文だったからだ。

 何故か、ブレイブたちは私に必要最低限の、子供のお小遣いくらいしか持たせてくれなかった。