というわけで、私はどんどん増えてくる人だかりを、逃げ出すように後にした。

「ふぅ……それにしても凄いわね。この身体。ファイより力持ちなんじゃない?」

 ふと声にした仲間のことを思い出す。
 みな実力は確かだが、不安なところもある。

 文字通り身を盾にして魔物の攻撃を防ぐファイは、必然的に怪我をしやすかった。
 普段は冷静なブレイブも、仲間がやられたりすると、身の危険を(かえり)みず飛び出すこともある。

 魔法が得意なザードは、私と一緒で肉体的には劣っていて、少しの怪我でも命取りだ。
 そんな三人は、率先して私を護ってくれていた。

「全く……誰のためにあの巻物を買ったと思っているのよ」

 私が少しでも強い肉体を手に入れることができたら、三人の負担も減るだろうと思ったのだ。
 そして、結果的に少々見た目は縮んでしまったものの、望んだ以上の肉体を手に入れた。

「私がいないとダメなんだって、今頃困ってるはずよね。しょーがないわね……今から、助けに行ってあげるわ!!」

 私はやることが明確に決まった嬉しさで自然と笑顔になった。