さらに類い稀な才能を有し、敬虔(けいけん)な回復師は男なら聖者、女なら聖女と呼ばれる。

 自慢じゃないが、私は魔王討伐を託されたブレイブたち勇者パーティのメンバーだ。
 聖女の中でも際立った才能を持っていると自負している。

「すげぇ……あんなに酷かったお頭の怪我が跡形もなく消えてら……」
「おい! 拝んどけ! 拝んどけ‼︎」

 慈母神の奇跡を目の当たりにした男たちは、私に向かって拝み始めた。
 辺りを見渡せば、いつの間にか人だかりができていて、その人たちまでもが拝んでいた。

「ま、まぁ。危なかったわね……もう大丈夫だと思うから……それじゃ‼︎」
「あ! 聖女様‼︎ せめてお名前を‼︎」

「名乗るほどの者じゃないわ‼︎ それにおぢさんが助かったのは慈母神様の御業(みわざ)だから!」
「おぉ……なんと謙虚な……さぞ名のある聖女様なのだろう」

 実は私は目立つのが苦手だ。
 単純に褒められるのが恥ずかしいのだ。