第3話
「な、なんだぁ⁉︎ 冗談言ってる場合じゃないんだよ嬢ちゃん。危ないからそっち行っててくれ。な? 親はどこだい?」

 建材を必死の形相で持ち上げている男たちの一人が、私に気づき声をあげる。
 しかし私はそんな声を気にすることなく、さらに近づく。

「危ねぇ‼︎ おい、これ以上近づくんじゃねぇって‼︎」
「大丈夫。まぁ、見てなさい」

 私は男たちが持ち上げたままの建材に手を当て、力を込める。
 その瞬間重さがなくなったせいか、男たちはキョトンとした顔つきになった。

 そしてあらかじめ安全を確認しておいた着地点に向かって、その建材を放り投げる。
 重量のある建材は、まるで小枝のように宙を舞い、そして誰もいない空いた土地に土埃を立てながら落ちた。

「な……なぁ⁉︎」
「さぁ、分かったでしょ? あなたたちもそこを退けて。どんどん行くわよー!」