ポツポツ、ザーザー


〜今日から、梅雨入りでしょう〜


「ハァ」

優花はニュースキャスターの言葉を聞いて溜め込んでいたため息がもれた。

「優花、そんなため息ついたら、幸せが逃げちゃうわよ。」

後ろから声が聞こえた。

「そんなことで逃げるわけがないでしょ」

「そんなことでもないわよ〜、笑ってた方がいいことはあるのよ」

「あ、その顔、信じてない顔ね。ホントなのよ!」

気持ちが顔に出ていたらしい。さっきから優花と話しているのは、優花の母だ。母は少し、いや、だいぶ変人だと優花は思う。まあ、小さい頃からだから慣れている。

それに加えて、すごくフワフワしてるから何をしでかすか分からない。
最近、1番ヤバかったのは、お金を下ろしに行って、帰ってきた時、下ろしてきたお金は持っていたのに通帳を無くすという事件があったこと。一生で1番は火事になりかけたことだろう?いまのところはだけど。

「優花、たいへん!」

説明してたらその本人の母に呼ばれた。

「なに?」

母の大変は日常茶飯事であるから、そこまで重要ではない。

「卵がない!」

はぁ、やっぱり、たったのそんだけの事だよ。

「だから?別に卵なくてもご飯は作れるじゃん」

「もう!優花はわかってないわねぇ。今日はもう、オムライスって決まってるの!」

「卵買いに行くの面倒だし、変えればいいじゃん」

「だから、もう、オムライスなの!優花、買ってきてくれない?おねがい!ねっ?」

もう、オムライスなの!って、おばさんが言うことじゃないって思う。

「もう、 、、卵だけで良い?」

そんだけがいいけどなと心の中で言う。

「ありがとう。卵と玉ねぎとネギとトマトもいいかしら。」

まぁ、そうだよね、

「はぁ、わかったよ」

やっぱり、母が出かけたくないだけだね、これは。

「ありがとう。でも、ため息はダメよ。声にでてないと思っても、顔には出ているわよ。はい、あとこれお金よ。行ってらっしゃい。」

母はすごくニコニコしていた。怖いぐらいに。帰ってきたら、家が燃えてるとか?有り得る。早く買いに行こう。

「行ってきます」

「はぁ」

雨、さっきより強くなってる。ほんと嫌だなぁ。頭痛くなる前にほんと早く帰ろ。


~今回の梅雨は、昨年度に比べて長引く可能性が高いです。また、降水量が多い予報なので気をつけましょう〜