スクールアイドル防衛隊〜通行人A子と弱虫王子〜

 厚紙(あつがみ)、ペン、30センチ定規(じようぎ)、分度器(ぶんどき)、はさみ・・・道具(どうぐ)が揃(そろ)って机(つくえ)に置(お)いた。
 
 私(わたし)は厚紙(あつがみ)に簡単(かんたん)に図(ず)を書(か)く。

 スマホの地図(ちず)の航空(こうくう)写真(しやしん)で学校(がつこう)のグラウンドの形(かたち)を大体(だいたい)書(か)き出(だ)す。

 幸運(こううん)なことに、丁度(ちようど)50m走(そう)の時期(じき)にこの航空(こうくう)写真(しやしん)は撮(と)られたみたいだ。

 50m走(そう)は学校(がつこう)に対(たい)して垂直(すいちよく)に書(か)いてあるから大体(だいたい)この位置(いち)で、前後(ぜんご)は同(おな)じくらい、比率的(ひりつてき)に大体(だいたい)15mほど余(あま)ってて・・・。

「花菱(はなびし)先輩(せんぱい)、50m走(そう)ってどっちに向(む)かって走(はし)りました? 学校側(がつこうがわ)?」

「・・・学校(がつこう)の方(ほう)だったかな。」

 じゃあ、やっぱり花菱(はなびし)先輩《せんぱい》は学校(がつこう)から15mくらいの位置(いち)に居(い)たんだ。

 それなら角度(かくど)もそこそこつくし、誤差(ごさ)も少(すく)なくなる。

「花菱(はなびし)先輩(せんぱい)、身長(しんちよう)何(なん)センチですか?」

「え・・・160センチ、だけど」

 少(すこ)し言(い)いづらそうに言(い)った花菱(はなびし)先輩(せんぱい)から視線(しせん)を紙(かみ)に戻(もど)す。

 じゃあ50分(ぶん)の1にして……。

 厚紙(あつがみ)の白(しろ)い部分(ぶぶん)に、全長(ぜんちよう)3.2cmの人形(ひとがた)を書(か)く。

 その下(した)は折(お)り曲(ま)げれるように、若干(じつかん)長(なが)くして、切(き)り取(と)った。

 切(き)り取(と)ったものの下部分(したぶぶん)を折(お)る。

 そして、床(ゆか)に垂直(すいちよく)に立(た)てた。

「花菱(はなびし)先輩(せんぱい)、私(わたし)、この写真(しやしん)と同(おな)じ角度(かくど)になるところを探(さが)すので、定規(じようぎ)とか分度器(ぶんどき)で角度(かくど)を測(はか)ってもらえますか?」

「分(わ)かった!」

 写真(しやしん)を確認(かくにん)しながら、しゃがんだ状態(じようたい)から立(た)ち上(あ)がっていって、その人形(ひとがた)の見(み)え方(かた)が写真(しやしん)の花菱(はなびし)先輩(せんぱい)と同(おな)じ角度(かくど)になるところを探(さが)す。

 ・・・ここだ!

 花菱(はなびし)先輩(せんぱい)は私(わたし)の目(め)の位置(いち)と地面(じめん)を繋(つな)いで定規(じようぎ)と分度器(ぶんどき)で確認(かくにん)しながら角度(かくど)を導(みちび)く。

「えっと、45度(ど)かな。」

「じゃあ……!」

 そこまで思って、書(か)き出(だ)す。

 そして、スマホで学校(がつこう)の基本的(きほんてき)な高(たか)さについて調(しら)べて、頷(うなず)いた。
 
「高(たか)さ15mってことは・・・多分(たぶん)5階(かい)、最上階(さいじようかい)ですね!」

 今(いま)やったのは、三角比(さんかくひ)。

 建物(たてもの)とグラウンドは垂直(すいちよく)で90度(ど)。

 90度(ど)と45度(ど)のある三角形(さんかくけい)は、辺(へん)の高(たか)さ1:底辺(ていへん)1:斜辺(しやへん)√(ルート)2になるんだ。

 だから高(たか)さxm:底辺(ていへん)15m=1:1、つまり15mって計算(けいさん)なの。
 
「三角(さんかく)関数(かんすう)なんて生活(せいかつ)してて初(はじ)めて役(やく)に立(た)った気(き)がする・・・。」

 花菱(はなびし)先輩(せんぱい)は感心(かんしん)したように私(わたし)を見(み)る。

 簡単(かんたん)な問題(もんだい)だけど、勉強(べんきよう)してたのがここで役立(やくだ)った。
 
 そのことに少(すこ)し口角(こうかく)が上(あ)がった。