スクールアイドル防衛隊〜通行人A子と弱虫王子〜

 お母(かあ)さんでも、そんな時期(じき)があったんだ。

「それならどうやって、今(いま)みたいに、色(いろ)んな人(ひと)と話(はな)せるようになったの?」

 気(き)になる。

 この答(こた)えがわかったら、私(わたし)ももっと上手(じようず)に話(はな)せるようになるのかな。

「大学(だいがく)のときね、沢山(たくさん)のプレゼンとかをやらされたの。そうしたら嫌(いや)でも慣(な)れたわ。人(ひと)と話(はな)すってことに。だから、慣(な)れが大事(だいじ)なの。」

 うっ、やっぱり慣(な)れなのか。

 慣(な)れっていったって、できる状況(じょうきょう)がないとどうにもならない。
 
 クラスの人(ひと)にいきなり話(はな)しかけるなんてこと、私(わたし)にはできないし。

「ああ、でも、沢山(たくさん)のことを知(し)っておくことも大事(だいじ)よ? 引(ひ)き出(だ)しが多(おお)いほど、話(はなし)の話題(わだい)も増(ふ)えるし、広(ひろ)げられるもの。」

 沢山(たくさん)のことを知(し)っておくこと・・・。

 確(たし)かに、言(い)われてみれば、私(わたし)が知(し)ってることはかなり限(かぎ)られている。

 小説(しようせつ)の中(なか)で出(で)てくることや、教科書(きようかしょ)に載(の)ってるようなことだけで、他(ほか)には疎(うと)い。

 話(はなし)が続(つづ)かないって、もしかしたらそのせいなのかな。

 ってことは、もっと沢山(たくさん)のことを知(し)っていれば、話(はなし)を広(ひろ)げられる?

 そのことに気(き)がついて、パアッと目(め)の前(まえ)が明(あか)るくなった気(き)がした。

 そうだ、私(わたし)、自分(じぶん)は流行(はや)りとかテレビとかに興味(きようみ)ないからって言(い)って遠(とお)ざけて、勝手(かつて)に周(まわ)りと話(はなし)が合(あ)わないって決(き)めつけてたんだ。

 知(し)る努力(どりよく)をしてなかったんだ。

 別(べつ)に友達(ともだち)が沢山(たくさん)欲(ほ)しいわけではないけれど、少(すこ)しずつでも歩(あゆ)み寄(よ)っていかなきゃ、この状況(じようきよう)は、口下手(くちべた)な私(わたし)は変(か)わらない。

 そうだ、ミヤさんと話(はな)す話題(わだい)も増(ふ)えるだろうし、勉強(べんきょう)以外(いがい)にも視野(しや)を広(ひろ)げていってみようかな。

 無理(むり)しない程度(ていど)に、少(すこ)しずつでも広(ひろ)げていけば、何(なに)か見(み)えるものがあるかもしれない。

 ようやく自分(じぶん)にできる具体的(ぐたいてき)なことが見(み)えてきて、少(すこ)し唇(くちびる)を上(あ)げた。

 うん、やってみよう!

 そう意気込(いきご)んだはいいものの、まずは何(なに)からすればいいんだろう。

 テレビでも見(み)ればいいのかな?

 家(いえ)でテレビってニュース見(み)るくらいでしかついてるの見(み)たことない。

 お母(かあ)さんがあんまり見(み)ない人(ひと)なんだよね。

 ラジオはよく聞(き)いてるみたいだけど。

 今時(いまどき)流行(はや)りのもの……ニュースではアニメの紹介(しようかい)とかされていたけど、それでも見(み)ればいいのかな?

 テレビをつけて、番組表(ばんぐみひよう)を確認(かくにん)してみれば、ちょうどもうすぐ始(はじ)まるみたいだ。

 お、ラッキー!

 そのチャンネルに変(か)えて、始(はじ)まるのを待(ま)った。