一人きりになると昨日の記憶が鮮明に蘇ってきてどんよりと沈殿した感情が吐き気を思い出させた。

そんな私だけの重い空間に窓から真新しい風が吹き込んできた。

春の香りを乗せた優しい風が記憶にこびりついた真っ白なあの甘い匂いを薄めてくれる。

ふと窓の外に目をやると毎年綺麗に咲いてくれる桜が満開になっていた。

「みんな元気かなー...」

本来であれば今日、私は高校を卒業する予定だった。
病状の悪化で長期入院をすることになったため卒業できなくなってしまったのだけれど。