「莉蘊ちゃん?」
私の顔を覗き込んで心配そうな声でそう呟いたのは担当の中村さんだった。
「あ〜良かった〜」
肩の力が一瞬にして抜け落ちたのが見てとらえた。
辺りはすっかり明るくなっており、時計の針は七時を示していた。
「先生…」
「一条先生は今小児科の方に行ってる」
いつもの明るい笑顔で中村さんはそう答えてくれた。
「もう本当に看護師全員心配したのよ〜。急に一条先生から連絡が来てね、莉蘊ちゃんが倒れたって」
そうだ。
思い出した。
昨晩、先生に飛びついてそのまま倒れ込んでしまったのだ。
思い返していると記憶の中のモヤモヤした感情がお腹の底でざわつくのが分かった。
嫌だ。
この感じ。
「もう少ししたら先生が来ると思うからちょっと待っててね」
中村さんは弾けるような笑顔で病室を出て行った。
