消えた未来の片隅で


病室を出てすぐのところにある小さなベランダに出た。

ベランダの手すりにお互い寄りかかる。

私の左隣には真っ白な白衣のポケットに手を入れたいかにも絵になる先生。
背景にはオレンジ色の夕日。
この時を待っていたかのように鮮やかに空を彩る。

「どうしたの?話って何?」

高鳴る鼓動を懸命に抑え、震えぬよう自然に放った。

「言わなくていいのか」

「え?何を?」

「余命のこと」

淡々と飛び出してくる言葉に重みを感じた。

心配してくれているのだ。