消えた未来の片隅で



「りん」

呼ばれて急いで返事をする。
この呼び方をするのは1人だけだ。

「先生!」

会話に夢中で入ってきたことに気づかなかった。
私にしては珍しい。

ちなみに"りん"って呼ぶのは"りうん"って呼びにくいかららしい。

「あー!!いつものイケメン先生だー!!」
「お久しぶりです」
「お邪魔してます!」

即座に反応した面食いな加奈。
落ち着いた声で挨拶をする希。
元気よく眩しい笑顔を向ける愛莉咲。

挨拶だけでももろもろの性格が出ている。

「久しぶりだな。卒業おめでとう」

「ありがとうございます!!」

私も一応と思い3人と一緒に頭を下げた。

「ちょっと話がある」
ドアの横に立ち私を手招く。

ベッドを降り、いつもお供してくれる点滴を片手に先生の元へ向かう。

「ちょっと待っててね」と愛莉咲たちに告げ、病室を後にした。