「てか、なんで被ったわけ...」
小さな白い花が集まってカリフラワー状態になったカスミソウを見て、苦笑いを浮かべてしまった。
希と加奈が持ってきたカスミソウをひとつの花瓶に飾ったのだ。
希が黙ってカスミソウを見つめている。
「だって、莉蘊カスミソウ好きじゃん!」
加奈が希の視界を言葉で遮る。
「いつもは食べ物ばっか持ってくるくせにどうして今日に限って...」
「卒業祝いにって思って!」
随分あっていないうちに上手くなった希の呆れ顔。
苦労が目に浮かぶ。
「そもそもカスミソウって単体で飾らないよね...」
恐る恐る呟いてみると「確かに...」と希が笑った。
「なんか...美味しそうだね...」
愛莉咲が絞り出したように言った。
「なんのフォローにもなってねーよ」
眉間にしわを寄せカスミソウをじっくりと見つめる愛莉咲。
何だかとても可愛いらしかった。
