消えた未来の片隅で

「せっかくみんな揃ってんだから、そんな顔された方が迷惑だよっ」

ベッドの横に座った加奈が肩で小突いてきた。

病室に笑顔が溢れる。

懐かしい笑顔。

「莉蘊は昔から1人で考え過ぎて自分のこと追い詰めちゃう。私を頼って!!って言ってるのに〜!」
愛莉咲が不満げにそう言うと、加奈が頼りげないもんな!と笑いながらツッコむ。
それを真に受け、凹む愛莉咲を希が呆れたように慰める。

希の様子からすると愛莉咲も昔から変わらないのだろう。

一連の流れをこなす3人の姿に目の奥が熱くなった。

ずっと変わらない。
それは私と愛莉咲だけじゃない。
みんな変わらない。

その事実がタンポポのような温かさを全身に染み渡させた。