消えた未来の片隅で




沈黙が病室を包む。

二人はどんな顔をしているのだろうか。
どう思っているのだろうか。

" 怖い "

漠然とそう思った。

二人を見ることができない。

頭上に乗った重たい過去が頭痛を呼ぶ。


「心配しないとか無理だから」

沈黙を破ったのは希だった。

「てか、そんな風に思ってたの?」

低く芯のある声が私の胸に刺さる。

「そういう風に見えてたならごめん。でもーーー」

希の瞳は力強く私を捕らえた。

「迷惑なんかじゃないから」

真っ直ぐに放たれたその言葉は真っ直ぐに私に届いた。

「そうだよ!莉蘊は考えすぎだよ!」

愛莉咲も真っ直ぐな眼差しをこちらへ向けて言った。

「そうそう、そんなしんみりしなくていーの」

声に導かれるように視線を向けるとついさっき希が飾ってくれたカスミソウを片手にドアに乗っかかる加奈いた。