消えた未来の片隅で

「ありがとうございます」
中村さんは優しい笑みを浮かべてこちらを見ている。
小さい頃からお世話になっているため母のようなお姉さんのようなそんな存在。
いつも私を支えてくれた。

「卒業した感全くないんですけどね」

学校の雰囲気がとても恋しい。
教室のあちこちから聞こえてくる声。
授業中にドッと溢れる笑い。
それぞれのお弁当から漂う美味しそうな香り。
それが混ざりあったあのお弁当臭さまでもが懐かしくて、恋しくて。

気づけば涙がこぼれていた。